/ 9月 11, 2018/ 新着情報, 気功治療

AST気功は、ひと言で言うと“治療の気”を使って、病気によって生じたからだの中にあるマイナス成分を取り除く施療法です。
実際には、症状のある箇所に、施療用の布を(服の上から)置きます。その上をゆっくりと、手で撫でながら、治療の気を患部に送ります。
これにより、“治療の気”が患部にあるマイナス成分を押し出してくるのを体の表面から取り除いていきます。

 

気功師は、症状のある体の箇所を洋服の上から触れるのですが、“治療の気”は肉体を介して“気のからだ”に送られます。
病院で治療する対象は“肉体”ですが、ASTの対象となるのは、“気のからだ”、ということです。

ASTでは、“肉体”と“気のからだ”は重なりあって互いに作用していると考えています。
治療の気で、“気のからだ”が健康な状態になれば、それが“肉体”に作用して、“肉体”も健康になるということです。その反対も然りで、病院治療で“肉体”が元気になると、“気のからだ”も元気になるということです。

とは言え“気のからだ”、といってもにわかに理解しがたい方もおられるのではないでしょうか。

今から、30年近く前、まだ理学療法士として、子供病院に勤務していた頃です。
高校生一年生の女の子が入院してきました。
彼女は、突然からだをまっすぐに起こして立つことができなくなりました。
座ると、背筋をまっすぐにして上半身を起こすことができます。いざ立とうとすると、からだが硬直して起こすことができません。丁度からだを90度に曲げてお辞儀した姿になってしまうのです。
整形的にも、神経内科的にも、内科的にも全く原因が分かりません。ドクターも皆目分からないので、「リハビリでなんとかしてもらえ」、ということになったようです。
心療内科では、当初学校のいじめが原因で、精神的な要因からきているのではと思われたようです。しかし、特にこれといった原因も見つからなかったようです。

ともあれ、奇しくもその女の子の担当になってしまったのです。
車いすに乗ってリハビリ室に入ってきた彼女は、ごく普通の高校生の女の子でした。
確かに、今の状況に混乱しているようには見えましたが、こちらの質問には、物おじせずにはきはきと答え、そのまなざしはどこにも陰りが見えません。


しかし、一旦平行棒で、“立ってごらん”、と言うと、車いすでは真直ぐ起していた上半身が90度に曲がってしまうのです。そして平行棒内では、からだを90度に曲げたまま、すたすた歩くのです。
通常ならば、リハビリのプログラムを作るために、まず運動能力の綿密な検査が必要です。しかし、その女の子の前ではすべてがむなしく、無駄なように思えました。なぜなら、立った姿勢を除いては運動機能も筋力もすべて正常だったからです。

丁度同じ頃、夏休みを利用してリハビリを目的に入院してきた中学生の男の子がいました。下肢が不自由なため、運動不足から、やや太り気味になってきた男の子の姿を見て、私は、覚悟を決めました。
通常の歩行訓練や筋力トレーニングなどは一切しない。訓練時間は、その男の子と一緒にマット上で、体を使って遊んでみようと。周りからは、訓練時間に何を楽しく遊んでいるのとかと白い目で見られつつ、かつ、上司の目を盗みながら、という厄介な状況ではありましたが。

当時のことを今でもはっきり覚えていることが1つあります。
現実には、彼女は上半身を90度に曲げたまま立っているのですが、私の目には、なぜだか、彼女がまっすぐ上半身を起こして立っている姿しか映らなかったということです。

そろそろ夏休みも終わるという頃、気が付くと、いつの間にか彼女は上半身を真直ぐに起して歩けるようになっていました。少しずつ、少しずつからだが起きていったのです。

一体、彼女の中で何が変化したのか、いまだにわかりません。もちろん、心理学的に分析すると専門的な分析があるのかもしれません。しかし、当初、心理学的に要因となる問題が見つからなかったことを考えれば、彼女の心の中で、大きな変化が起きたとは考えにくい気がします。
一方、彼女にしても、
“からだをまっすぐに起こして歩けるようになった”、
“私は治ったんだ!”
というような、喜びあふれるような感激は一切ありませんでした。
当たり前にからだの変化を受け入れ、気が付いたら、普通に歩けるようになった。そんな印象でした。
あまりにも当たり前にやり過ごす彼女を見て、からだが起せなかったのは、ただ、周りの大人たちだけが夢を見ていたのかと思うほどでした。

肉体の変化ではない何か、心の要因だけでもない何か、があるのかもしれない。
当時の私には、それが何であるかはおよそ見当もつきませんでした。しかし、その時“何か”が変化したことだけは確かでした。
今から思えば、それは、“気のからだ”を実感した瞬間だったのかもしれません。

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