今が旬の桃は、7月から9月が食べ頃とされています。『日本の七十二候を楽しむ―旧暦のある暮らし-』(東邦出版)によれば、八月の八日から十日は、八(は)九(く)十(とう)の語呂合わせから、白桃(はくとう)の日、と言うそうです。また日本の桃の元祖は岡山であるようです。
岡山の桃と言えば、果肉はまるで貴婦人の白肌のように柔らかく、甘くジューシイな果汁が口の中でほとばしります。上品な岡山の桃は今でも高価で、子供の頃から食べたいだけ食べられるフルーツではありませんでした。家族皆で大切に分け合って食べていた思い出があります。いつか思いっ切り食べたいものだと、心密かに誓ったものです。桃と言えば、岡山の桃しか知らなかったのですが、大人になり、同じAST気功院を開いていらっしゃる福島の方から桃を頂いてびっくりしました。
まず外の色が桃色ではなく、紅色なのです。岡山の白桃が、まるで薄紅を付け、清楚にたたずんでいる白無垢の花嫁さんなら、福島の桃は、一変して、紅色の紅を付けた新婚さんが頬を蒸気させながらはつらつとしている、そんな姿です。果肉もうって変わり、甘いながらも、しっかりしていて、少しシャキシャキ感があります。フルーツサラダにもとても合います。関西では福島の桃が出回っているのをあまり見かけたことがありませんでした。元祖“岡山の桃”も捨てがたいのですが、“福島の桃”を知ってからはその味といい、その姿といい、すっかり虜になってしまいました。