「気功でこの病気は治りますか?」というご質問をよく受けます。“治る”か、“治らない”か、の判断は、病院にお任せする領域なので、こちら側でお答えするものはありません。
しかし、質問の方向を少し変えていただいて、「気功で、どのような効果がありますか?」、あるいは、「どんな良好効果がありますか?」とお尋ねいただければ、お答えできることは多々あります。例えば、最近ぎっくり腰をしてしまった、痛みがなんとかならないか、という場合、じっくり一度施療することで、痛みが軽くなり、背筋が伸びるようになった、という実感を持たれるようです。
症状の程度や病気の種類によって、その変化の仕方もそれぞれあります。なんらかの原因による炎症による痛みの患者さんの場合なら、痛みの強さが軽減する、終日ある痛みが断続的になってくる、痛みの範囲が減ってくる、日常生活が痛みでままならなかったのが、できることが増えてくる、動作が早くなってきた、外出する時間が増えたなど、あります。また、神経に何らかの傷を負って慢性的な痛みがある場合は、月単位、数か月単位、半年単位、1年単位で施療を受けることで、痛みの程度や痛みが続く時間、日常生活において、ゆっくりといろいろな変化を感じられる方もいらっしゃいます。
また精神面での変化もあります。夜熟睡できるようになった、痛みのために精神的にイライラ・落ち込み・うつ傾向が減ってくる、体への不安がなくなる、などがあります。特に、女性の方の場合、当センターに来られる時の服装が明るくなったり、頬紅や口紅など、女子力がだんだんアップされていくことで見受けられます。
人体には誰にでも、“身体を元の状態に戻そうとする力”が備わっています。健全な状態ならば、病気になった時、その力が体内の“治癒システム”に則って健康な状態に戻るようにします。
しかし、何らかの原因でその力がある範囲を超えて弱くなってしまった場合、あるいは、その治癒システムにトラブルが起きている場合、元の健康な状態に戻ることが自身の力だけでは困難となります。
AST気功は、“元の状態に戻そうとする力”に“ASTの気”をプラスして、元々体にある“治癒システム”に戻して、体を健康に向かうように促していくものです。
その一方で、残念ながら、積極的な症状の改善を望めない方もいらっしゃいます。余命をすでに宣告されたがん患者さんが、その痛みや苦しさのために藁をもすがるように、当気功センターに来られることもあります。
私達がお手伝いできることは、気功施療の間だけでも、痛みや苦しさの無い時間、安らぎのある時間を提供する、ということです。そのことをご理解していただいた上で、気功を行ないます。以前子宮がんの転移による非常に激しい痛みを抱えた30代の女性の方がお見えになったことがあります。施療後、「痛みが少し楽になりました」と言ってお帰りになられましたが、痛みのない時間が少しでも続くことを願わずにはいられませんでした。患者さんのご希望は、もちろん、痛みのない状態に戻ることです。しかし、たとえ一日の中のわずかな時間でも、痛みが取れる時間を少しでも提供できることは、AST気功による大きな良好効果の1つだと思うのです。