私の地元京都では、冬になると、あちこちの甘味処では“甘酒”の暖簾が掲げられます。底冷えする京都では、体の芯まで暖めてくれる甘くて、ショウガがピリッと効いた甘酒は、いわゆる「冬の定番の飲み物の1つ」、と信じていました。それが最近になって、それが大きな誤解だったことが分かりました。
甘酒は、平安時代にはすでに貴族たちの夏の飲料だったようです。江戸時代に入ると、厳しい夏の暑さで落ちた体力の回復や疲労を取るために、甘酒売りが現れました。甘酒は≪夏の風物詩》だったのです。
甘酒は、“飲む点滴”と言われるぐらい、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12) 葉酸、パントテン酸、食物繊維、オリゴ糖、アルギニン、グルタミン酸などの必須アミノ酸やブドウ糖などがたくさん含んでいます。特にビタミンB群は私達が摂取した食べ物を分解して、体内にエネルギーとして変換する消化酵素の働きを手伝ってくれるとても重要な栄養素です。甘酒は米と米麹を発酵させて作ります。その発酵過程で消化酵素などさまざまな酵素がふんだんに作り出されます。
ビタミンB群はそれら酵素に協力して、エネルギーの産生以外にも、ストレスホルモンといわれる副腎ホルモンを作ったり、免疫の補助や血液を作ったりします。ビタミンB6は、特に体内に溜った疲労物質を還元されるように手伝います。皮膚や粘膜を強くしたりしてくれるのもこのビタミンB群です。また、豊富な食物繊維は整腸にも有効です。
初めて飲まれる方はびっくりするかもしれませんが、甘酒は非常に甘いものです。これはいわゆる砂糖の甘さではなく、発酵により、原材料の米や米麹がブドウ糖にまで分解した時に出る甘さなのです。
ということで、本題です。最近やたらに甘酒が目に付くようになりました。今ではスーパーなどで、手軽に簡単に甘酒が手に入るようになっています。甘酒はプレーンにショウガを少し浮かべて飲むものが定番と思っていましたが、今ではゆず風味、豆乳で割ったものや、始めからショウガで味付けされているのもあります。
そこで、私が選んだ甘酒四種をちょっと紹介させていただきたいと思います。
非常に甘い 非常に濃厚
⑴あまざけ(濃縮)
うるち米(自然栽培米と蔵付天然麹菌で仕込んだ甘酒)
マルカワみそ
(福井県越前市)
非常に甘い 丁度いい濃さ
⑵麹だけで作った
あまさけ 伝統飲料
米麹(精米歩合60%)
八海醸造(株)
(新潟県南魚沼市)
ちょうどいい上品な甘さ ちょうどいい濃さ
⑶あま酒
一の蔵(宮城県)
米糀100%
(減農薬・減化学肥料栽培の環境保全米
精米歩合60%)
さっぱりした甘味 さらさら ⑷生あま酒 本物生甘酒仕込(生きた酵素を食べる甘ざけ) 米麹、もち米、米
わいん屋おおきに
(京都上七軒)
・無農薬国産のブルーベリー生甘酒
・抹茶生甘酒も。
参考文献)
マンガでわかる自然治癒力のしくみ 生田哲2014年サイエンス・アイ新書
こころと脳の不調は副腎ケアで整える 本間良子本間龍介 平成28年祥伝社文庫