新緑が眩しい季節となりました。残念ながら今年も、春の溢れんばかりの陽気を親しい人と楽しむことはしばしお預けとなりました。
さて、気功施療を始めてから、患者さんからしばしば受けるご質問の1つに、“免疫を上げるにはどうしたらよいですか?”というのがあります。
今まさに猛威を振るっている新型感染症の予防として免疫を上げたいものです。
“免疫を上げる”という言葉は、イコール“健康になる”ための非常に便利な代名詞のように使われていますが、実はそれだけではありません。どうやらそれを問いかける患者さんにとっては、“健康になる”ことで、今抱えている嫌なことや煩わしさなどがすべて消えてしまうに違いない、と、そんな願望を込めた一種の魔法の言葉のようです。
“免疫を上げると言っても、体の免疫と心の免疫の二つを考える必要がありますよ”と言うと、たいていの患者さんは、えっ?と意外な表情をされます。
“健康になる”ことは、イコール“幸せになる”という考えとは少し違いますよ、ということを暗に伝えたいのです。
患者さんの症状や病気から回復されている経過を見ていますと、症状が改善されていくに従って、気持ちに強さが見え始め安定されていきます。お話される内容も地に足がついた実感の伴うものに変わっていかれます。
その様子を見るとやはり“からだと心は一心同体”だとあらためて感じるところです。
体が辛い時はやはり気持ちも辛くて苦しいものです。気持ちが不安定な時は何かにすがったり、誰かに頼ったり、たとえ人に当たったりしても、不安な気持ちを共有してもらいたいのです。
そんな苦しくて辛い状況の中、いろいろな力を借りて、それは病院治療であったり、気功治療であったり。あるいは人の助けもあります。家族であったり、友人であったり。あるいは食べ物であったり、動物や花や木や自然であったり。そんないろいろな力を借りて、自分自身で苦しい状況を超えていった先にこそ、すべての願望を込められた、“免疫が上がる”という実感をご自身の手に入れることができるのではないかと思うのです。