「腸脳相関」という言葉は、健康が気になる方であれば聞き覚えのある言葉ではないでしょうか。 脳腸相関とは、腸は24時間常に脳と自律神経系や内分泌系や免疫系を介してお互いにコミュニケーションを図りながら心身を調整しているといったことです。これが腸が「第2の脳」と呼ばれる所以です。腸脳相関において重要な役目を担っているのが、まさに腸内細菌叢(そう)です。腸の中には1000種類、1000兆個以上といわれる微生物が住んでおり、重量にしては1~1.5㎏といわれるから驚きです。腸や腸内細菌叢からの情報が体の各部位に送られる脳からの調整や指令に影響を与えているのです。まさに脳に対する腸の下剋上です!それだけでなく、心の在り方や意識、性格や感情
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日中のぽかぽか陽気に油断していると、あっという間に夕方急な冷え込みに慌ててしまいます。あ、もう11月なんだと改めて気が付きます。最近暗いニュースばかりが目に付き、なんとなく重苦しい空気に流されてしまいそうな気がします。 かれこれ10年くらい前からでしょうか。年に1,2回ふらっと当気功センターに気功施療を受けに来られる患者さんがおられます。関東在住のその方は先日もお孫さんのお顔を見にくるついでと、当センターに寄られました。持病として不整脈をお持ちですが、その日は、特に背中の強度なコリや胸部の不快感、右手指の局所性ジストニアなどを訴えられました。左右差のある背筋や肩周囲筋の過剰なコリや背骨の歪みが目立ちます。右母指の極度の外反位に
気功施療を通じて日頃実感することは、慢性的な痛みや不快な症状を訴える患者さんの多くは、情動的な要因からくる痛みが大きいということです。情動的な痛みとは何かというと、痛みがこのまま続いていくのではないか、もう病気が治らないのではないか、といった痛みに伴う不安や恐怖、そこに過去の痛み経験などが引き出されて合わさり、痛みがより主観的、感情的なものになっている状態です。 実はこの情動的な側面を持つ痛みと、いわゆる障害を受けた箇所の痛みの強さや性質などを識別する感覚的な痛みは、脳で認識される場所は違うところにあります。つまり、情動的な痛みを脳に伝えるルートと感覚的な痛みを伝えるルート(伝導路と言います)は別物だからです。 しかし患者さん
気が付くと、すっかり秋らしい気配が漂ってきました。今年の夏は暑かった?かどうかを思い出せないほど、あっという間に10月になった気がします。気温差が激しいこの時期、体調にもいろいろ変化が出てくるようです。 突然鼻水が止まらなくなったり、目や喉の痒みが始まる、といったのは花粉症ですね。この時期はイネ科だけでなくブタクサやヨモギなどの花粉に注意が必要です。また衣替えや冬用の毛布などを引っ張り出すと室内に舞い上がるホコリなどで、突然アレルギー性鼻炎が始まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。患者さんの訴えでよくあるのは、秋や春先に頭皮や首などに出る皮膚湿疹です。また、最近ではCOVID-19 のワクチン接種後からなんとなく体調がい
青や白、ピンクといった色鮮やかな紫陽花が街のあちこちで見かけるようになりました。夏に向かって一段と深緑してきた木々とのコントラストが気持ちよく映ります。 先日ずいぶん古い患者さんの息子さんより電話を受けました。施設に入所している早92歳になる母が腰を痛めて動けないでいること、痛みで腰を伸ばすことができず、ほとんど終日テーブルに前屈みで寄りかかる姿勢以外しか取れないこと、病院の薬ではどうにもならないこと、以前こちらに気功でお世話になっていたので、もしかしたら良くしてもらえるのではないかという内容でした。その方がこちらで気功を受けておられたのは20数年前のことです。その頃のことを家族の方が覚えておられたというのは嬉しい驚きでした。
今年もお願いいたします。本日2日は、大みそか、元旦とは打って変わり、大阪ではお天気に恵まれ青空がまぶしい日となりました。陽気に誘われて、外出されている方も多いのではないでしょうか。 先日TVで各種多様な職種のその道の知識人たちの討論会がありました。新型感染症が始まって以来、世界中を巻き込んで、今なお苦心している感染症対策とそれに関わる経済、社会構造の問題について、熱き議論の応酬のバトルに思わず釘付けになりました。残念ながら、その内容はかなり専門的な話にまで及んだこともあり、こちらの理解が及ばないところが多々ありました。その中で、新型感染症によって、経済をさらに低迷にさせてきた大きな理由の一つに、“不安”あるいは“不安感”が挙げ
病気や様々な症状が始まるきっかけとなる引き金の多くはストレスです。身近なところではうつ症状や不安症状や不眠や、あるいは片頭痛や不整脈や生活習慣病の代表格である糖尿病などもストレスが挙げられます。 このような症状が始まったのは何かきっかけがあつたのですか?という問いに、たいていの方は最近ストレスばかりで、とお答えされる患者さんが多くいらっしゃいます。しかし患者さんが意図される“ストレス”とは、単なく生活環境からのストレスであったり、ハードワークのような肉体的ストレス、あるいは騒音や排気ガスや大気汚染などの機械的、化学的な刺激によるストレスなど直接的なものとは違うようです。いわゆる職場や家庭で受ける“精神的な苦痛”を“ストレス”と
何回くらいでよくなりますか? これは気功施療のお問い合わせの時や初回の施療後に必ずと言ってよいほど受ける質問です。 その度にこちらも少し返答に躊躇してしまうことになります。 お辛い症状や痛みがすぐに改善できればよいですが、こちらに来られる方のほとんどが病院治療やいろいろな他の施療をやりつくされて思うような結果が出なかったために、当気功センターに来られるというケースが多いです。 その時来られる患者さんの状態によって、施療効果がどのように現れるかは様々です。 最近お見えになった帯状疱疹後神経痛の方は、病院治療とペインクリニックで激痛を乗り越えてこられました。あまりの痛さで死んだ方がましだとさえ思った時期もあったそうです。なんとか今
私の父は満91歳である。脳血管障害で倒れたのは今から約30年以上前である。つまり30年以上自宅で療養を強いられる毎日を過ごしてきたことになる。 表具師として一家5人の生活を支えていた父は、得意先も増え、老舗旅館などの掛け軸や屏風などを任されるまでになっていた。仕事も充実してきて、さあ、これからという矢先だった。結局病気の後遺症で左手足の麻痺が残り、表具職を引退した。そして長い長い自宅療法の生活が始まった。父は倒れてから一度も自分の病気について、あるいは自分の不自由な生活に対する恨みや愚痴を家族に漏らしたことはない。 当時私は理学療法士として、父の不自由な手足を少しでも取り戻そうと躍起になっていた。父もそうであった、と思う。父は
新緑が眩しい季節となりました。残念ながら今年も、春の溢れんばかりの陽気を親しい人と楽しむことはしばしお預けとなりました。 さて、気功施療を始めてから、患者さんからしばしば受けるご質問の1つに、“免疫を上げるにはどうしたらよいですか?”というのがあります。 今まさに猛威を振るっている新型感染症の予防として免疫を上げたいものです。 “免疫を上げる”という言葉は、イコール“健康になる”ための非常に便利な代名詞のように使われていますが、実はそれだけではありません。どうやらそれを問いかける患者さんにとっては、“健康になる”ことで、今抱えている嫌なことや煩わしさなどがすべて消えてしまうに違いない、と、そんな願望を込めた一種の魔法の言葉のよ