半年ぶりにやっと三原色の絵画教室が開催されました。年明けてから今日までまん延防止等重点措置から非常事態宣言となり、再度まん延防止重点措置へと移行していく中、まるでその流れに並走するかのように教室の開催がその都度中止になったからです。
半年ぶりに開けたパレットには乾燥して硬くなってしまった絵具が点在したままです。三原色で描く絵は、赤、黄、青、そして白の絵具を取り交ぜて自然界にある色とりどりの色を生み出していきます。ちょっとした色の配合具合と水の含み加減で同じ赤色を出すのでもピンク色になったり、桃色になったり、オレンジになったり、そこにはその人しか生み出せない色の世界が広がっていきます。残念ながら初心者にはなかなか思うような色を作ることができません。その時もおそらく何回も三色の配合を組み合わせて試しどりをしていた痕跡がパレットの中に残されていました。
しかし半年前のパレットの中を覗いても、なぜだかそれが半年前という実感が沸いてきません。そうか、あの時も今も自分たちの周りに漂っている閉塞感が変わらないじゃないか。それでも、と気を取り直して今度は、題材のコエビソウ(エビのように花本体がくねった形をしている、朱色の花)をまじまじと眺めると、そう言えばこうして花の姿や花びらの色をじっくり観察するのも、ホントに久しぶりだなと実感。花をゆっくり見る、というほんのちょっとした気持ちの余裕すらこの半年の間持ち合わせていなかったことに気付きました。
そのうち、周りの参加者の方の世間話が聞こえてきました。この半年の間、同じ家にいるのなら、今まで自分がやったことのないことをしようと決意して始めた趣味の話とか、人生初めてDIYに挑戦してみたら意外にそれがはまってしまったとか、好きな乗馬を久しぶりにしてきたとかです。皆さんが今の時勢に合わせて大っぴらに活動していることを控えめに話されながらも、今のこの感染症に負けないために、あるいはこの閉塞感に流されないために、やったるぜ!という心意気のようなものがひしひしと伝わってきます。この絵画教室の参加者の年齢層は50、60代から70代の方達です。
いつの間にか今の閉塞感に絡まれて身動きできなくなっていたのは、意外にもその中で一番若輩の私だったのです。彼女たちははるかにずっとずっと意欲的で前を向いておられます。若者にパワーをもらって元気になった、という話はよく聞きますが、私は人生の諸先輩からたくさんの元気をもらうことができた一日でした。