/ 12月 11, 2021/ AST気功便り, 新着情報, 記事一覧

病気や様々な症状が始まるきっかけとなる引き金の多くはストレスです。身近なところではうつ症状や不安症状や不眠や、あるいは片頭痛や不整脈や生活習慣病の代表格である糖尿病などもストレスが挙げられます。

植物園にて。

このような症状が始まったのは何かきっかけがあつたのですか?という問いに、たいていの方は最近ストレスばかりで、とお答えされる患者さんが多くいらっしゃいます。しかし患者さんが意図される“ストレス”とは、単なく生活環境からのストレスであったり、ハードワークのような肉体的ストレス、あるいは騒音や排気ガスや大気汚染などの機械的、化学的な刺激によるストレスなど直接的なものとは違うようです。いわゆる職場や家庭で受ける“精神的な苦痛”を“ストレス”として抱え込んでいる場合が多いようです。

植物園にて。

それは人との関わりからくる精神的な不安や怒り、苛立ちのような感情に翻弄される時間の積み重ねと、それが多方面から複合的に重なった時に病気や症状として発現したものです。さらに気になるのは、患者さんは今ある辛い症状や過酷な状況から早く逃れるにはどうしたらよいかという思いだけで、何が本当に辛いのかを考えないようにしておられるように思います。最近夜眠れないと訴えのある患者さんが来られました。肩こりがあり食欲不振で胃腸の具合も悪い、などと症状を訴えられます。職場の人間関係からくるストレスもあると話をされます。しかし気功施療をした後、症状はどうですか?とお尋ねしても、その変化を感じる余裕はなく、自己防衛が強いその方は、自分はどのように感じるのか、あるいはどうしたいのかということを意識に上げることが難しいようです。後に分かったことですが、本当は慢性的に抱える不安感で苦しんでおられていたのですが、それをまともに向き合うことが非常に怖く、今のこの不眠や肩こりをなんとかしてほしい、という訴えだけに終始されていたようです自分の気持ちや思いを意識化しないように、自分の内に押しとどめることで、辛い状況をなんとかやり過ごして来られてきたのです。

緑地公園野紅葉。

今訴えられる痛みや不快な症状は、自身で消化できないものとして抱え込み過ぎた結果、このままではいつかどこかで破綻するという危険を感じた肉体がついに病気や症状という形で訴える手段を取った形のように見えます。病気というのは、単に肉体の病んだ箇所だけが対象ではありません。病理検査や客観的な検査データーは施療を進める上で必要なものです。しかし、なぜこのような痛みや症状が発現しているのかをどこかの時点で目を向けることが、この辛い状況から超えるための必要な作業ではないかと思います。先ほどの患者さんは気功を重ねることで次第に不眠状態が改善されていかれました。それと同時に気持ちに余裕が出て来られたようで、少しずつなぜ自分は不眠状態に陥ったかということに目を向けるようになっていかれました。今では前を向いて落ち着いて過ごされています。自信も出て来られたように思います。

緑地公園にて。

日々肉体を介してやってくる感情や思いをスルーするのではなく、素直に受け止め、それをどのように意識し、あるいはそれにどのように対応するのか、その意識の方向を自身でコントロールできる心の強さと柔軟性を少しずつ高めていくこと。それが日々の生活を健やかで健全にするために大切なことではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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